こんにちは、税理士のカワサキです。
今日は、相続税の節税策として長く活用されている生前贈与について解説します。
贈与税の各年ごとの基礎控除額は110万円となっています。つまり、次世代に対し基礎控除額以下の贈与を早い段階から実行することは相続税対策の一つとして非常に有効です。毎年100万円の贈与であっても、20年、30年と続けることで1円の贈与税も発生させずに2,000万円、3,000万円という金額を次世代に引き継ぐことができるのです。まさに「小さなことからコツコツと」です。タワーマンション節税のように法律の隙間をつくようなものではないため派手さはありませんが、最も堅実な節税策の一つと言えるでしょう。
資産規模が大きく、数億円あるような方は多少贈与税を払ってでも基礎控除額を超えた贈与を行い、将来の相続税を抑えた方がトータルで払うべき税額を抑えられるケースも多いです。
生前贈与はその贈与期間が長いほど、税金の総額を抑えることができます。被相続人が健康で長生きすることこそが、一番の相続税対策であるとも考えられます。
ただし、生前贈与に関して注意しなければならないポイントもあります。
(1) 相続税対策を生前贈与だけで行おうとすることは、非常にリスクが高いと言えます。なぜなら、被相続人が不慮の事故で急逝された場合等、計画どおり贈与を行う前に被相続人が亡くなることがあるからです。死ぬタイミングは基本的には選べません。このような場合に想定以上の相続税がかかることが考えられます。
(2) 毎年贈与を行う都度、贈与契約書を作成し、また銀行振込などによって、その事実を明らかにしておくことが得策と言えるでしょう。契約を交わしていない銀行振込は、贈与が成立していないとみなされう可能性がないとは言えません。また、贈与を受けた預金については、その受贈者が管理を行っていないと、被相続人の「名義預金」として相続税の課税対象に含まれてしまう可能性もあります。
(3) 早い段階から贈与を行うことで、相続税の総額を減らすことは可能ですが、老後における想定外の資金需要に対応できない可能性があります。また、受贈者である子ども等が資産を無駄遣いし、将来の相続税の納税資金が足りなくなる懸念もあります。
贈与をする場合には、しっかりとその活用方法を関係者で話し合い、お互いのライフプランを共有していくことがとても重要です。
2016年6月24日金曜日
2016年6月23日木曜日
旧措置法69条の4
こんにちは、税理士のカワサキです。
今日はタワーマンション節税の記事でも登場した「旧措置法69条の4」について。
まずはこの規定ができた背景ですが、昭和の末期から平成の初期にかけてのいわゆるバブル期においては、不動産について、相続税評価額と取引価額の差を利用した節税案が提案され、それが不動産等の需要を高めて更にバブルを煽る原因になったようです。現在の東京湾岸タワーマンション乱立エリアもこれに近い状況になっているのではないでしょうか。
当時、不動産の取引価額に対し、路線価等の相続税評価額が非常に低かったため、相続開始前の不動産の取得が節税策の一つとして極めて有効であり、多くの専門家によって勧められたようです。このような節税策は、最も単純でポピュラーなものでしたが、不動産の需要を高め、地価を一層高騰させるということで、政府からも問題視されていました。
このような節税策に対して、昭和63年12月に制定された租税特別措置法69の4(以下「旧措置法69条の4」)は、昭和63年12月31日以降取得した不動産については、取得後3年間は路線価等で評価せずに取得価額をもって相続税を課税することとしたのです。しかし、旧措置法69条の4は、バブル崩壊後、相続税額が相続財産の時価を上回るというとんでもない事件もあって、平成8年に廃止されました。
法人が取得する不動産については、取得後3年間は取得価額をもって評価するという通達がありますが(財産評価基本通達185)、個人が取得する不動産については、直接的な規制措置が設けられていないという事情があります。
この状況を上手く活用しているのがタワーマンション節税であるといえますね。
今日はタワーマンション節税の記事でも登場した「旧措置法69条の4」について。
まずはこの規定ができた背景ですが、昭和の末期から平成の初期にかけてのいわゆるバブル期においては、不動産について、相続税評価額と取引価額の差を利用した節税案が提案され、それが不動産等の需要を高めて更にバブルを煽る原因になったようです。現在の東京湾岸タワーマンション乱立エリアもこれに近い状況になっているのではないでしょうか。
当時、不動産の取引価額に対し、路線価等の相続税評価額が非常に低かったため、相続開始前の不動産の取得が節税策の一つとして極めて有効であり、多くの専門家によって勧められたようです。このような節税策は、最も単純でポピュラーなものでしたが、不動産の需要を高め、地価を一層高騰させるということで、政府からも問題視されていました。
このような節税策に対して、昭和63年12月に制定された租税特別措置法69の4(以下「旧措置法69条の4」)は、昭和63年12月31日以降取得した不動産については、取得後3年間は路線価等で評価せずに取得価額をもって相続税を課税することとしたのです。しかし、旧措置法69条の4は、バブル崩壊後、相続税額が相続財産の時価を上回るというとんでもない事件もあって、平成8年に廃止されました。
法人が取得する不動産については、取得後3年間は取得価額をもって評価するという通達がありますが(財産評価基本通達185)、個人が取得する不動産については、直接的な規制措置が設けられていないという事情があります。
この状況を上手く活用しているのがタワーマンション節税であるといえますね。
2016年6月22日水曜日
タワーマンション節税②
こんばんは、税理士のカワサキです。
前回ご紹介したタワーマンション節税ですが、今日はタワーマンション節税の問題点を考えていきたいと思います。
タワーマンションの購入が節税策の手段として利用されるのは、タワーマンションの取引価額と相続税評価額の差が大きいことである点は前述のとおりです。実は、このような節税策は、バブル期にも不動産を中心に多くの財産について採用されていたものであり、また、それぞれについて規制措置が採られてきたものなのです。
前回ご紹介したタワーマンション節税ですが、今日はタワーマンション節税の問題点を考えていきたいと思います。
タワーマンションの購入が節税策の手段として利用されるのは、タワーマンションの取引価額と相続税評価額の差が大きいことである点は前述のとおりです。実は、このような節税策は、バブル期にも不動産を中心に多くの財産について採用されていたものであり、また、それぞれについて規制措置が採られてきたものなのです。
しかし、バブル期には存在した「不動産の取得後3年間の相続については当該不動産の取得価額で課税する」という旧措置法69条の4は平成8年に廃止されており、それ以降、相続税対策としての不動産取得に法的な規制が存在しないという事情があります。
したがって、国税がタワーマンションの取得による節税を否認する手段は、それぞれの取得の実態に応じて、①同族会社等の行為又は計算の否認規定の適用、②仮装行為の否認、③評価通達6項の適用等しかありません。しかも、これらの否認規定は、きわめて抽象的な適用要件であるため、国税もこれらの否認規定を適用することには慎重にならざるを得ません。
実務的にも、これらの規定の適用で否認を受けるケースは稀であり、タワーマンション節税に限らず、これらの規定により否認された経験を持つ税理士もほとんどいないのではないかと思います。少なくとも私の経験ではありません。タワーマンションによる節税を封じることはそんなに簡単なことではないのです。
実務的にも、これらの規定の適用で否認を受けるケースは稀であり、タワーマンション節税に限らず、これらの規定により否認された経験を持つ税理士もほとんどいないのではないかと思います。少なくとも私の経験ではありません。タワーマンションによる節税を封じることはそんなに簡単なことではないのです。
タワーマンション節税が否認されたケースとして、平成23年7月1日裁決がよく紹介されていますが、個人的にはこの裁決をもってタワーマンション節税が否認されたと考えるのは筋が悪いと思います。なぜそう考えるかはまた別の機会にでも書きます。
とはいえ、タワーマンション節税にリスクがないかと言われると必ずしもそうではなく、時には課税上のリスクが伴うこととなります。特に相続開始直前に取得し、相続開始直後に譲渡するようなケースでは注意が必要かと思います。
さらに、タワーマンションの購入については、これらの課税上の問題のみに目を奪われてはいけません。不動産市況にも注意が必要です。節税額よりもマンションの値下がり損が多額になるようであれば、元も子もありません。値下がりしない物件を選ぶことも非常に重要であるといえます、もちろんそれが簡単なことではないのですが。
2016年6月21日火曜日
タワーマンション節税①
こんにちは、税理士のカワサキです。
今日は何かと話題のタワーマンション節税について解説していきましょう。
今日は何かと話題のタワーマンション節税について解説していきましょう。
いわゆるタワーマンション節税というのはタワーマンションの取引価額と相続税評価額との差額を利用した節税策のことです。
タワーマンションの取引価額は、一部例外もありますが、基本的には眺望が良い高層階ほど高く、低層階ほど低くなります。さらに東京タワーや丸の内の夜景が見える部屋というのはプレミアムが付くため、同じマンションであっても他の部屋よりも高くなる傾向があります。
一方、相続税額を計算する際に用いられる相続税評価額は、同じマンションで床面積と設備が同じであれば、高層階であっても低層階であっても基本的に同じになります。東京タワーや丸の内の夜景が見えるといったプレミアムも一切考慮されません。同じ床面積、同じ設備であれば日当たりの悪い2階であっても東京タワーが綺麗に見える35階であってもその相続税評価額は同じになるのです。
ここで具体例をみていきましょう。床面積や設備が同じであれば次の2つの部屋が同じ相続税評価額となるのです。
・タワーマンションAの2階201号室 取引価額5000万円
・タワーマンションAの35階3501号室 取引価額5億円
これら2つの部屋の相続税評価額がともに5000万円である場合、3501号室を購入した人は相続財産を4億5000万円(5億円-5000万円)も圧縮することができるのです。現金で持っていればそのまま全額が課税対象となる5億円を、タワーマンションに変えることでその評価額を10分の1とすることができるというわけです。
取引価額と相続税評価額との差額が大きければ大きいほど節税商品としての魅力は高まることとなります。
上の例は少し極端ですが、1億円で購入したタワーマンションの相続税評価額が1億円の約26%、2600万円となった事例などもあると聞きます。このように取引価額と相続税評価額との差に注目するのがタワーマンション節税です。
*タワーマンションの評価にあたっては、建物だけでなく土地の評価も必要となりますが、今回は話をシンプルにするため割愛しています。
・タワーマンションAの2階201号室 取引価額5000万円
・タワーマンションAの35階3501号室 取引価額5億円
これら2つの部屋の相続税評価額がともに5000万円である場合、3501号室を購入した人は相続財産を4億5000万円(5億円-5000万円)も圧縮することができるのです。現金で持っていればそのまま全額が課税対象となる5億円を、タワーマンションに変えることでその評価額を10分の1とすることができるというわけです。
取引価額と相続税評価額との差額が大きければ大きいほど節税商品としての魅力は高まることとなります。
上の例は少し極端ですが、1億円で購入したタワーマンションの相続税評価額が1億円の約26%、2600万円となった事例などもあると聞きます。このように取引価額と相続税評価額との差に注目するのがタワーマンション節税です。
*タワーマンションの評価にあたっては、建物だけでなく土地の評価も必要となりますが、今回は話をシンプルにするため割愛しています。
2016年6月17日金曜日
はじめに
こんにちは、税理士のカワサキです。
税制改正により、平成27年1月1日以降、相続税の課税ベースが拡大され、税率構造が見直されました。具体的には、前者は相続税の基礎控除がそれまでの「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」から「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げられ、後者は相続税の最高税率を55%に引き上げる等の税率構造の見直しが行われました。
このような流れの中で相続に関するコンサルティングニーズもますます高まることが予想されるため、このブログでは、より身近になった相続税について真剣に考えていきたいと思います。伝統的なものから流行のものまで、現在よく使われる節税方法についてもご紹介できればと思います。
税制改正により、平成27年1月1日以降、相続税の課税ベースが拡大され、税率構造が見直されました。具体的には、前者は相続税の基礎控除がそれまでの「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」から「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げられ、後者は相続税の最高税率を55%に引き上げる等の税率構造の見直しが行われました。
このような流れの中で相続に関するコンサルティングニーズもますます高まることが予想されるため、このブログでは、より身近になった相続税について真剣に考えていきたいと思います。伝統的なものから流行のものまで、現在よく使われる節税方法についてもご紹介できればと思います。
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